3日ぐらい前かな?怪しげな業者が家に来た。

ちわーっす、××社でーす。いつもお世話になってますー。

って聞こえたから母と玄関に出たら作業着着た兄ちゃんが立ってた。

思えば鍵が空いてるからってインターホンも鳴らさずに勝手に入ってきた時点で怪しいけど、うちは田舎だしその時は気にしてなかった。

その兄ちゃんは母の弟に似てて、そこで警戒心が薄れたらしい母がホイホイ家に上げて話しだした。

名刺もくれなかったし会社名も不明瞭な発音で口にしたのは玄関に入る前の一回のみ。

自己紹介もされなかったし作業着にも会社名が刺繍されてなかったもんで自分は不審に思った。

けどもその時家には母と自分の女2人しかいなくて、母にどう伝えればいいかわかんなかった。

その間にも母はニコニコ相手してて、ああもう早く気づいてよ、明らかに怪しいじゃんその人!とか思ってた。

母はのんきに世間話してて、相手がキッチンの点検に来たんすよーみたいなこと言ったら台所まで連れて行ってた。

自分的にはもうこの当たりで修羅場だった。

相手は男だしこっちはぽやぽやした母と体力測定で平均にも届かない非力な自分だけとか何この罰ゲームとか思ってた。

焦りすぎてうまく考えられなかったけど、家から追い出せばどうにかなると思ってとりあえず後に続いた。

台所とか包丁があるから、もし包丁を取られたら終わりだと思ったんで刃物とか入ってる棚の前に立った。

作業服の兄ちゃんが邪魔そうにしても動かなかった。

うちのIHヒーター見ながら良い奴ですねとかきっといつも美味しいご飯作ってあるんでしょうねとか娘さんはお手伝いとかされるんですかとかなんとか言ってたけど。

生返事を返しつつ、殴り掛かられたり脅された時に何か武器になるものを必死で探してた。

IHの上のファン?みたいなとこ外されて形がどうのこうので取替が必要みたいなこと言われた。

値段は安くても70万からで、一番高いやつは237万とか言われた。

なんとかセットだとアフターサービスもうんぬんとかなんとか。

もう何考えていいか分かんなくなって237万とかwww微妙wwwってなった。

作業服の兄ちゃんはドライバー握っててすごく怖かったけど顔に出したら殺されると思って必死に高いんですねーとかニコニコしてた。

その間も母はめっちゃニコニコしてる。

最近は良いやつがいっぱい出てるのねーとかやっぱり良いやつは値段も違うのねーとか言ってた。

あの時ほど母を殴り飛ばしたくなったことは無い。

兄ちゃんが今この場で契約すると安くしますよーとか言って、瞬間的にお金の話をこれ以上されると危ないと思ったからカタログとかないんですか?って聞いたら兄ちゃんの顔色が変わった。

今までは接客スマイルみたいだったのに、スっと冷えたような笑い方になった。

舌打ちみたいな音も聞こえた。

もう本当に殺されるかと思った。

でもそれも一瞬で、すぐに接客スマイルに戻った。

眼は笑ってなかったけど。

母はそうねー、カタログ見たいわーとか言ってた。

作業服の兄ちゃんはあ、カタログっすかーとかいいながらファンを元に戻して、車にあるんでとってきますって言って玄関から出て行った。

ついて行って家の外に出たらすぐに戻ってきて今ちょうど切れてるみたいっす、すんませんって言ったから、チャンスだと思って、家に入れないようにドアの前に陣取った。

自分がとても重要な最後の砦になった気がした。

そこで母に、契約するならカタログ見てからが良くない?

安い買い物じゃないから父さんにも相談しよう、みたいなこと言ったら作業服の兄ちゃんはまたカタログ持ってきますねーって帰っていった。

すぐに家の中に入って母に怪しい人を家に上げるなって言ったけど、いまいち理解してくれなかった。

そんでその日に叔母に電話して愚痴ったらしい。

娘(自分)に怒られたって。

逆に母が怒られたらしく母は謝ってくれた。

そんで今日回覧板に押し売りにご注意くださいって言う警告文?みたいなのが入ってた。

特徴とかが全く一緒で、話に飲まれると500万ぐらい持ってかれるって書いてあって腰が抜けた。

そんで安心したのかわかんないけど大泣きした。

回覧板見つめてへたり込んでボロ泣きしてる自分を見て、母がどうしたのか聞いてきたから、泣きながらこれ、これとか言って回覧板の警告文を指でさしてた。

そしたら母も驚いたらしくてごめん、って謝ってきた。

押し売りとかテレビとかでしか見たことなかったからほんとに怖かった。

でもそれ以上に母の危機感のなさが怖かった。

これから母に怪しい人には注意しましょうって教えなきゃいけないと思うとなんかもう(^_^;)