雨の日の昼過ぎに、買い物の帰りに後ろから肩を掴まれて、振り向いたら知らない男がいた。

え?え?誰?人違いされた?え?と固まっていると、抱きしめられた。

痴漢!?暴漢?!殺される?!とパニック。

気が付くと持っていたエコバッグを振り回していた。

男の肩にバッグが当たり、男がしゃがんだ所に勢いが慣性の法則で止まらないバッグが二打目。

その2打目が男の頭部にヒット。

破れたバッグから缶詰が飛び出す。

そうだ!台風に備えて家族4人分の缶詰を買い足していた!!

やばい殺した?私殺人者?子供は殺人者の息子になるの?年取った親はどうなるの?

男はぴくりとも動かないし、もう膝がガクガクして震えながら携帯で警察に電話した。

本当は電話する前に

「このまま逃げようか?」

と思った。

警察が救急車を呼んでくれて、私は婦警さんとパトカーに乗せられて警察署へ。

結果、男は顎先にバッグが当たり顎が振り切れて脳震盪で気絶していただけ。

相手が刃物を持っていた事、婦女暴行の前科があった事で正当防衛で私は無罪放免。

被害届を出して終わった。

缶詰代は請求出来ますよ?と言われたが、それはパニックで泣き続ける私を笑わせようとしたお巡りさんの冗談かも。

駆けつけてくれたトメが泣きながら

「お前が嫁に買い物をさせるから!」

と同じく駆けつけてくれた夫をビンタ。

「そもそも缶詰なんて重い物はお前が買いに行け!」

と夫を打ち続けるトメをお巡りさんと必死で止める。

一悶着が落ち着いて

「あれ?今家には誰がいるの?子供達は何処?」

と気付き三人とも真っ青。

小学校低学年の息子達がいるんだけど、鍵は持たせてない(無くすから)。

時刻は18時、しかも台風直撃中。

慌てて家に帰ると(覆面パトカーで送って貰った)家には灯りが点いていて、息子達は中でゲームをしていた。

トメが警察からの連絡で慌てて飛び出したとき、玄関は施錠していたが今の掃き出し窓はそのままにしていたのが幸いしたらしい。

もう本当に全身から力が抜けて、リビングでワンワン泣いて、そのまま気絶した。

まだいてくれた警察の人が、覆面パトカーで病院に運んでくれたそうだ。

気絶する瞬間、目の前が真っ暗になり、ゆっくり天井が廻ったのを覚えている。