フェイクは入っている。

高校1年の時、兄が結婚した。
兄と兄嫁は結婚してそのまま兄実家(=私もいる)で同居し始めた。
新婚当初は、私と兄嫁は仲悪くはなかったと思う。

半年した頃から兄嫁に嫌味をいわれはじめた。
剣道部だったため「妹ちゃん臭いねw」(入浴後)とか
「妹ちゃんの甲手って馬糞みたいな匂い」
(洗って陰干ししていたのをわざわざ匂い嗅いでいう)
 
とか部活関係を主に成績や異性交遊についても。
当時、私は恋愛よりも部活一辺倒だったため、
「彼氏できないんだ?wいきおくれ確定だね」
「むしろ行かず後家かな」
等の嫌味は非常に煩わしくて仕方なかった。

一方、母と兄嫁は仲が良かったらしく、
母に相談しても「兄嫁さんがそんなことするわけないでしょ」
なんて言っていて相手にしてくれなかった。

兄もそうだった。むしろ嫁いびりやめろ、と私の頭をひっぱたいた。
父は無関心だった。
 
高3の時、兄嫁から財布をもらった。ブランド物に疎い私は正直イラネと思いつつ、
関係改善に期待しつつ、それをもらった。あとはバッグとか。貰いっぱなしは悪いと
思って、でもバイトしてないからお礼の品を買うことなんてできないから兄嫁の家事を率先して手伝った。

センター試験二日前、父母兄がいきなり部屋に入ってきた。
みんな鬼みたいな顔をしていた。
兄に腕を乱暴に引っ張られ椅子から転げ落ちた。その間、
母は襖の中をあさって兄嫁からもらったバッグや財布を
見つけて金切り声をあげていた。
「兄嫁さんの!あんたって子は兄嫁さんの盗んで!って。
 
父にどういうことか尋ねられた。兄嫁にもらったと答えると
「うそつくな」と殴られた。何万もする財布やバッグをほいほいやる人なんかいないだろう、と。
嘘ついてないと言っても、父母兄から見れば盗品は私の部屋にあって盗みがばれたのに貰ったものだと開き直る私を信じるはずもなく、夜があけるまで説教(というより罵倒)された。

次の日は何していたか覚えていない。翌日、翌々日のセンターを終えて吐いた。
それから父母兄と話し合いが始まって、泥棒は家にいらないし学費も払わないと言われ、
高校卒業とともに家を追い出された。

センターで第一志望合格していたんだけど、学費が無いため
授業料免除とった第四志望の私大に行った。あとは奨学金で生活した。
 
その後、卒業しそこそこ良いところに就職した。
しばらくして、実家からコンタクトがあった。

理由は、兄夫婦の子が病気になってドナーが必要だったから。
そもそも生まれたなんて知らないわ。
 
それで懇願されて検査を受けたところ、私は適合したらしい。
兄夫婦に土下座されて是非移植して欲しいと懇願された。
 
だから兄嫁に「何でセンター二日前を狙って濡れ衣を着せたのか」を聞いてみた。
返答次第では提供もやぶさかではないよ、と言い添えて。

兄嫁の答えは非常に下らなかった。私が女子高生で部活等で青春していたからだそうだ。
本当に下らない。

「子どもが大切なんですね」と聞いたら「当たり前じゃない!自分の子なんだから!」と言われた。
だから、提供を拒否した。
兄嫁発狂、父兄呆然、母号泣。そんな大切な子ならなおさら、提供するはずがない。

子どもに罪はないってよく言うけれど、兄夫婦の子というだけで憎しみの対象だから。
その子がドナーが見つからなかったため死んだという知らせを聞いたので、
祝電の準備をしつつ記念かきこ。

ちなみに両親、兄から謝罪はあったけど許すわけないのでそのまま絶縁宣言してある。

それから、兄嫁は多分復讐できないないと思われる。私は向こうを把握しているけど、
向こうは私がどこにいるのかさえわからないと思う。
 
絶縁宣言したと言ったが、正確には絶縁したわけではなく、
私から接触することはできるけど、向こうからは無理、みたいな状態。
 
ベストポジションだと思う。言いたいことだけ言ってあとはニラニラしながらオチする。
兄嫁は鬱状態だから、電話でたまに励ましてあげてる。
「子どもも残念だったけど、次頑張ってね。すごく楽しみにしてるから」って。兄嫁不妊らしいけど。

兄嫁が発狂してるのを見て喜ぶ私もだいぶ病んでると思う。
病院には遠回しに入院をすすめられたけど入る気はない。今、人生で一番楽しいから。
両親には人でなしと言われたけれど、人でなしだから痛くもかゆくもないし、
人でなしにしたのは誰だと問い詰めたい。

「兄嫁さんの策略で私は18歳で家族を失いました。
あの時仲のいい家族になっていれば、私はドナーになることができたでしょう。
でも、兄嫁さんによって私は家族をすべてを失いました。 
自分の体を大きく傷つけた上で、私のすべてを奪った人を
笑顔にする事はできませんでした。 
私と兄嫁さんが家族になっていれば、お子さんとも家族になり、
私も進んでドナーになっていたと思います。 
家族になれず残念です。お子さんのご冥福をお祈りいたします。」