だいぶ前の話。
私は実家の隣の県に進学して当時、一人暮らしをしてました。
彼男とは大学のサークルで知り合いました。
彼男は一浪でひとつ上。
かなり遠くの県の出身の人でした。
サークルのムードメイカーという感じで、とにかく明るい盛り上げ役。
盛り上げるためならかなり下品な下ネタもやる人で私には刺激が強かったけど彼の方から告られ、
「人気者の彼男くんに告られるなんて…」
と男子に免疫のなかった私は舞い上がってしまいました。
でも付き合いはじめてから彼男の意外な一面が見えてきました。
仲間に対してはすごくいい人なんです。
友情厚いし。
でも仲間以外の人にはすごく冷たい。
たとえばなにか食べに行ったとき、そこの店員さんに対して無礼なんです。
店員さんに対して
「お前よー」
「誰にクチきいてるわけー?」
「金もらってるのになんなんその態度?店長呼べや」
みたいな、いきなりDQNになるんです。
でも私や友人と話すときはまたコロっともとの彼に戻る。
なんかちょっと思ってたイメージと違う…とうっすら気付きながら初めての彼氏だし、とズルズル付き合っていました。
故郷を離れて一人暮らしで寂しいせいもあったんだと思います。
彼男も
「この女は離れていかない」
と思ったのかだんだん態度が横柄になってきて、いろいろ言うようになってきました。
たとえば私とデートしなくちゃいけないからバイトができない。
おまえに時間をとられてるせいでバイトができないんだからおまえは責任とってバイト代を半分俺によこせ、とか俺が服を着たり髪をカットしたりするのは一緒に歩くおまえに恥をかかせないためなんだから原因のおまえが服やカット代や整髪剤の金を出せ、とか。
そのうち、おまえとずっといたいからだ!ってアパートを引き払って私のアパートに転がり込んできました。
もちろん家賃も食費も払いません。
「おまえのためにいてやるんだ」
「防犯のため男がいないとまずいだろ。ガードマン雇ったらいくらかかると思ってるんだ」
「おまえは世間知らずのグズだから俺がついていないとだめだ」
ってずーーーっと言われ続けて、なぜか洗脳されたように彼の言うとおりになってました。
言い返しても百倍に言い返されるのでついついめんどくさくなって私が折れれば丸くおさまるんだからいいや、と思ってしまっていました。
あいかわらず外では人気者の明るい彼男だったし不満に思う私が変なのかな…と思ってました。
ある日私がバイトから帰ってくると、アパートの廊下の奥で彼男の怒鳴り声が聞こえました。
何事?!と思って廊下の電気をつけたら彼男が怒鳴りながら、うずくまってる誰かを蹴ってる。
何何!?と走ってる途中で気付いた。
彼男が蹴ってるのは私の母方の祖母(当時86歳)でした。
「何すんだぁこらあああああああぁぁぁ!!!」
と、生まれてこのかた出したような声を出して彼男に全身でぶつかってタックルした。
私は彼男よりだいぶ体格は劣るけど、それでも勢いで彼男は吹っ飛んだ。
祖母を見たら鼻血が出て、入れ歯が落ちていた。
こんなに腹が立ったことはないというくらい腹が立って、手がぶるぶる震えた。
彼男が立ちあがって、私にへらへらしながら
「何すんだよもう~、なぁんかさ~、へんなババアが…」
と言いかけたあたりで
「ギャーーーッ!!火事だーーー!おまわりさーんん!!人殺しーー!!」
って叫んで、彼男が硬直してる間に急いで鍵あけて、おばあちゃん連れて中に入った。
彼男は合いカギ持ってたので、背中でしばらく封鎖してガクガクしながらチェーンした。
110番110番、って頭ではわかってるんだけどなかなか手が動かなくて携帯がバッグにあるのに、公衆電話に行かなきゃーとかずっとパニクっていた。
結局110番する前に彼男はドアをガンガン蹴ったあげくにどこかへ消えていった。
あとから聞いたらサークル仲間のとこに泊めてもらったらしい。
おばあちゃんは畑でとれた野菜を私に届けようと留守電にメッセージ入れてから来てくれてたんだけど、行き違いで私が留守電を聞かず彼男が「不審なババアがいる」と問答無用で祖母を蹴ったということだった。
おばあちゃんの入れ歯は欠けて、野菜は踏まれていた。
それでやっと私は目が覚めた。
彼男と別れるのはもちろんだけど、祖母に暴力をふるった償いは絶対にさせたかったから朝イチで医者に行って診断書とって、父に「どうしたらいいか」と訊いた。
父が一緒に警察署に行ってくれるというので一緒に行った。
暴行傷害というので届を出した。
祖母は鼻の骨が折れてました。
許せなかったです。
私が変な男と付き合ったばかりに、おばあちゃんごめんなさい。
アパートにはしばらく帰らず、鍵だけ変えて完全に引き払うまでは実家から大学に通いました。
二時間近くかかるけど通えない距離でもないしさすがに彼も実家まで突撃しては来なかったです。
バイト先は事情を話してやめさせてもらった。
彼男は前からバイト先に通ってバイト仲間に絡んでたから嫌われてたので事情を話したらすぐわかってくれました。
サークルも行くのをやめました。
彼男はいろいろ言いふらしたようだけど、私が先輩に事情を打ち明けてなんとなくそれが広まって彼男の方がいずらくなったみたい。
でも彼男をかばう人もいて、その人たちが結局分裂して新しいサークルを作ったとかなんとか。
傷害の件は示談にしなかったので彼に前科がつきました。
初犯?だからと執行猶予がついて刑務所には行きませんでした。
でも彼男の母親に「虫ケラ」って言われたとき、やっぱ取り下げなくてよかったと思った。
うるせー虫ケラはおまえらだ。
最後まで祖母に謝らなかったし。
おわりです。
私は実家の隣の県に進学して当時、一人暮らしをしてました。
彼男とは大学のサークルで知り合いました。
彼男は一浪でひとつ上。
かなり遠くの県の出身の人でした。
サークルのムードメイカーという感じで、とにかく明るい盛り上げ役。
盛り上げるためならかなり下品な下ネタもやる人で私には刺激が強かったけど彼の方から告られ、
「人気者の彼男くんに告られるなんて…」
と男子に免疫のなかった私は舞い上がってしまいました。
でも付き合いはじめてから彼男の意外な一面が見えてきました。
仲間に対してはすごくいい人なんです。
友情厚いし。
でも仲間以外の人にはすごく冷たい。
たとえばなにか食べに行ったとき、そこの店員さんに対して無礼なんです。
店員さんに対して
「お前よー」
「誰にクチきいてるわけー?」
「金もらってるのになんなんその態度?店長呼べや」
みたいな、いきなりDQNになるんです。
でも私や友人と話すときはまたコロっともとの彼に戻る。
なんかちょっと思ってたイメージと違う…とうっすら気付きながら初めての彼氏だし、とズルズル付き合っていました。
故郷を離れて一人暮らしで寂しいせいもあったんだと思います。
彼男も
「この女は離れていかない」
と思ったのかだんだん態度が横柄になってきて、いろいろ言うようになってきました。
たとえば私とデートしなくちゃいけないからバイトができない。
おまえに時間をとられてるせいでバイトができないんだからおまえは責任とってバイト代を半分俺によこせ、とか俺が服を着たり髪をカットしたりするのは一緒に歩くおまえに恥をかかせないためなんだから原因のおまえが服やカット代や整髪剤の金を出せ、とか。
そのうち、おまえとずっといたいからだ!ってアパートを引き払って私のアパートに転がり込んできました。
もちろん家賃も食費も払いません。
「おまえのためにいてやるんだ」
「防犯のため男がいないとまずいだろ。ガードマン雇ったらいくらかかると思ってるんだ」
「おまえは世間知らずのグズだから俺がついていないとだめだ」
ってずーーーっと言われ続けて、なぜか洗脳されたように彼の言うとおりになってました。
言い返しても百倍に言い返されるのでついついめんどくさくなって私が折れれば丸くおさまるんだからいいや、と思ってしまっていました。
あいかわらず外では人気者の明るい彼男だったし不満に思う私が変なのかな…と思ってました。
ある日私がバイトから帰ってくると、アパートの廊下の奥で彼男の怒鳴り声が聞こえました。
何事?!と思って廊下の電気をつけたら彼男が怒鳴りながら、うずくまってる誰かを蹴ってる。
何何!?と走ってる途中で気付いた。
彼男が蹴ってるのは私の母方の祖母(当時86歳)でした。
「何すんだぁこらあああああああぁぁぁ!!!」
と、生まれてこのかた出したような声を出して彼男に全身でぶつかってタックルした。
私は彼男よりだいぶ体格は劣るけど、それでも勢いで彼男は吹っ飛んだ。
祖母を見たら鼻血が出て、入れ歯が落ちていた。
こんなに腹が立ったことはないというくらい腹が立って、手がぶるぶる震えた。
彼男が立ちあがって、私にへらへらしながら
「何すんだよもう~、なぁんかさ~、へんなババアが…」
と言いかけたあたりで
「ギャーーーッ!!火事だーーー!おまわりさーんん!!人殺しーー!!」
って叫んで、彼男が硬直してる間に急いで鍵あけて、おばあちゃん連れて中に入った。
彼男は合いカギ持ってたので、背中でしばらく封鎖してガクガクしながらチェーンした。
110番110番、って頭ではわかってるんだけどなかなか手が動かなくて携帯がバッグにあるのに、公衆電話に行かなきゃーとかずっとパニクっていた。
結局110番する前に彼男はドアをガンガン蹴ったあげくにどこかへ消えていった。
あとから聞いたらサークル仲間のとこに泊めてもらったらしい。
おばあちゃんは畑でとれた野菜を私に届けようと留守電にメッセージ入れてから来てくれてたんだけど、行き違いで私が留守電を聞かず彼男が「不審なババアがいる」と問答無用で祖母を蹴ったということだった。
おばあちゃんの入れ歯は欠けて、野菜は踏まれていた。
それでやっと私は目が覚めた。
彼男と別れるのはもちろんだけど、祖母に暴力をふるった償いは絶対にさせたかったから朝イチで医者に行って診断書とって、父に「どうしたらいいか」と訊いた。
父が一緒に警察署に行ってくれるというので一緒に行った。
暴行傷害というので届を出した。
祖母は鼻の骨が折れてました。
許せなかったです。
私が変な男と付き合ったばかりに、おばあちゃんごめんなさい。
アパートにはしばらく帰らず、鍵だけ変えて完全に引き払うまでは実家から大学に通いました。
二時間近くかかるけど通えない距離でもないしさすがに彼も実家まで突撃しては来なかったです。
バイト先は事情を話してやめさせてもらった。
彼男は前からバイト先に通ってバイト仲間に絡んでたから嫌われてたので事情を話したらすぐわかってくれました。
サークルも行くのをやめました。
彼男はいろいろ言いふらしたようだけど、私が先輩に事情を打ち明けてなんとなくそれが広まって彼男の方がいずらくなったみたい。
でも彼男をかばう人もいて、その人たちが結局分裂して新しいサークルを作ったとかなんとか。
傷害の件は示談にしなかったので彼に前科がつきました。
初犯?だからと執行猶予がついて刑務所には行きませんでした。
でも彼男の母親に「虫ケラ」って言われたとき、やっぱ取り下げなくてよかったと思った。
うるせー虫ケラはおまえらだ。
最後まで祖母に謝らなかったし。
おわりです。
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