6年生の時の修羅場。

私の父は転勤族で引っ越して来たばかりだったので近所を探検するために、田んぼがあちこち残った住宅街の中の道路を自転車で走ってた時の事。

犬の散歩をしている親子がいた。

中型犬(柴犬か雑犬だと思う)のリードを5つぐらいの女の子が持っててすぐ横に母親が付き添ってる感じ。

そしてそれを少し前の方から父親がビデオを撮ってた。

映りこむと申し訳ないと思って道路の端っこから追い抜こうとしたら大き目の砂利石が落ちてて前輪が乗り上げて滑ってしまった。

それで自転車ごと側溝(割と幅があって深いやつ)に落ちた。

落ちた後、爆笑が聞こえた。

少し経ってからその親子と違うおじさんが

「大丈夫か!」

って助け出してくれて家まで送り届けてくれた。

その後病院に行って、骨折とか大きな怪我はなかったけどアゴの所を側溝の角でざっくり切って9針縫った。

(当時の女の子としてはかなり大きな怪我だけど)

おかげで新しい小学校にはアゴに大きな絆創膏をした情けない姿でスタートした。

それから何ヶ月か経った頃、番組名は忘れたけど素人投稿ビデオの番組(コーナーだったかも)にその様子が流れた。

あの時ビデオを撮ってた人が、決定的瞬間みたいなテーマで投稿したらしい。

その当時は個人情報への配慮とかあまりなかったからモザイクもなく、結構離れてたからアップではないにしろ知ってる人には分かる程度に私の顔は全国にダダ漏れ。

近所の人たちには場所と投稿者も分かってるし、もちろん落ちたのが私ってこともバレバレ。

学校でも一躍私は有名人で、あの時の絆創膏の理由はこれかと笑われた。

他のクラスや学年の子たちまで見に来て、ものすごく恥ずかしかったしとにかく嫌だった。

近所の人たちにも、それまで挨拶すらしたこともなかったような知らない人からまで

「大変だったねぇ」

とかクスクス笑いながら言われたし。

自分たちがモデルの映像ならまだしも、何故私を全国に晒して笑いものにするのかと投稿者に対して腹立たしさが治まらなかった。

それで私があんまりショック受けてるものだから母が投稿者の家に行って二度とああいう投稿はしないでくれと“お願い”に行ってくれたけどなんか言い合ったらしくて険しい顔して戻ってきた。

母は割と順応性のある人で、どこの土地に引っ越してもすぐ友達作って楽しくやってたけどその土地でだけは浮いていたと後に聞いたことがある。