叔母が崖から車ごと落ちたけど、無傷で帰還したこと。

15年前、叔母と姉と私の3人でミカン狩りに行った。

叔母の運転で山奥の曲がりくねった細い道を上って駐車場を探していたのだが、道を間違ったらしく上りきっても行き止まりだった。

道路は途切れて、その先は10メートルほどの崖だった。

私は来る途中にあった事務所で道を聞いてくると言って車を降り、坂を下った。

助手席に乗っていた姉は車酔いが酷く、私が戻るまで外に出ていることになった。

私が歩き出して数十秒後、姉の絶叫とガシャンガシャンという聞こえた。

驚いて車のあった場所へ戻ると、車はなかった。

そして姉は崖に飛び降りた。

私は数秒間固まっていたが、全速力で坂を下り事務所へ向かった。

事務所にいた職員に事情を話し、救急車を呼んでもらい、崖の下まで連れてもらった。

グ□い想像をしながら山道を歩き、崖の下に着くと大破した車があった。

大きな岩に突っ込んでいて、運転席と助手席はひしゃげていた。

騒いでいる職員の隣で私は冷静に

「あ、これアカンやつや」

と思い家族にどう説明するか考えていると、車の後ろから叔母と姉が出てきた。

無傷で。

叔母は

「お父さんに怒られるわ」

と壊れた車の心配をしていて、

姉は

「電波届けへんなー」

と言いながら携帯を振り回していた。

事務所に戻り話を聞くと、崖の上で方向転換しようとしてハンドル操作を誤ったらしい。

4~5回転しながら崖から落ちたらしいが、一回転目で運転席の窓ガラスが割れ、二回転目で叔母が窓から投げ出され草むらに落ちたらしい。

そして無人の車だけが数回転して岩に突っ込んだ。

運がいいとか言うレベルじゃない。

叔母はかなり細身だが、シートベルトをすり抜けて都合よく割れた窓から投げ出されるとか有り得るのか。

そしてたまたま草むらに着地するとか主人公補正でもかかっているのか。

実際壊れた車の運転席はシートベルトがセットされたままだったし、叔母はかすり傷も負っていなかった。

姉は車が落ちたとき、叔母が死んだー!!と思い咄嗟に飛び降りたらしい。

崖から所々に突き出した岩を足場にして、高速で降りたらしい。

かなり運動神経は良い方だったけど、女子高生が崖から飛び降りて無傷で着地するのもなかなか凄い。

姉が車に到着したとき、叔母は後部座席に置いていたコンビニのお握りを救出していたらしい。

あれから毎年のように叔母と姉はミカンやらブドウやら狩に山奥に車を走らせている。

私は絶対に同行しないけど。

叔母は相変わらず元気だ。

姉は自転車走行中に車に撥ね飛ばされた時も無傷だった。

私もバイク走行中に車と接触事故を起こして道路に顔面着地したけど、メイクが崩れただけだった。

少しだけフェイク入れてますが、実話です。

皆さんも事故にはくれぐれも気をつけてください。