1人の男のせいで婚約破棄された話。

5年ほど前、私には婚約者がいた。

優しくて私の仕事に理解があって(学童の主任)病気になったら必死に看病してくれるし、決してイケメンではなかったが本当にいい男だった。

私はそんな彼が大好きで、同棲中は凝った料理を作ったりマッサージの勉強をしたりととにかく尽くした。

同棲2年目に婚約し、お互いの両親に挨拶。幸せいっぱいだった。

しかし急に彼が籍を入れるのを躊躇うようになった。

もう婚約指輪も貰ったし早く結婚したい!と思っていた私は理由を聞くが、

「ごめん、時間頂戴」

と言うだけ。

私の両親も彼の両親も不思議がってたので、彼両親が彼に訳を聞いてくれることになった。

翌日に彼母から電話があり、彼に理由を聞いてくれたとの事なので聞いてみると・・・

・彼の上司の男性が結婚はやめた方がいいと言って来た

・上司は離婚暦2回のの53歳。最初の嫁も2回目の嫁も交際中は尽くして努力してくれたが、結婚した途端ダラけた。

・給料をしっかりと管理され自由に使えない。そのくせ自分は友人と豪華ランチ(2人とも)

・ほっそりしていたのにぶくぶく太って、とてもじゃないが抱く気にはなれなくなった。

・・・という事を上司に吹き込まれたらしい。

彼母は、私ちゃんはそんなことないと説得してくれていたようだが彼は婚約破棄の意思を呟いていたという。

彼母は、泣きながらごめんなさいと謝ってきたが、彼母は悪くない。

上司という女運の無い男たった一人の言葉に流された彼に怒りが募った。もちろん上司にも。

その日、彼は帰ってこなかった。

「明日○○のカフェに来て。」

とメールが来ただけ。

あ、こりゃ婚約破棄を言い渡されるわと思ってわんわん泣いた。

そんなときに母と彼母が部屋を訪ねてきた。

私と彼のことで心配してくれて、母同士でどうにかならないか話し合ったらしい。

それで2人で部屋を訪ねてきた。

彼が帰ってこないことを告げると、彼母が彼に連絡を取ろうと試みたが、一切応じなかった。

そして翌日のカフェにて。

待っていたのは彼と彼上司。

なんでこいつまでいるんだよと聞くと、上司は

「ほら、見てみろ。婚約した途端に口が悪くなるw」

と笑った。

彼の顔はなんとも情けなく被害者面。

上司は

「こいつ(彼)の為に婚約破棄してやってくれ。女のATMになる人生なんて最悪だよ」

と早口で捲くし立てる。

彼はだんまりなので、

私「上司さんは黙っててもらえます?これは私と彼君の問題です。仲人じゃあるまいし、どうして口出しするんですか?彼君も黙ってないでなんとかいいなよ。これは2人だけで話し合うべきでしょ?」

彼「・・・・」

上司「ほーらほらほらw!!婚約が決まると女はこんなにヒステリックになるんだよ!彼君この先苦労するよぉ?」

私「だから上司さんは口を出さないで! 彼君、私がどれだけ貴方を愛してるか知ってるよね。私は決して上司さんの元嫁のようにはならない。考え直してよ。」

上司「こんなの女の常套句だよ。2番目の嫁は絶対に前嫁みたいにはならないからね!と高らかに宣言してダメだったし。」

彼「慰謝料は払う。婚約破棄します。別れて、私ちゃん。」

私は戦意喪失。

何もかもが冷めて婚約破棄を承諾。

婚約指輪を彼に投げつけて店を出ました。

背後から

「うひょーw乱暴w」

と言っているのが聞こえてボロボロ泣きながら部屋に帰った。


その後、母と彼母が何度も彼を説得してくれたようだが状況は変わらず。

私は荷物を全部実家に送り、部屋を出た。

私は2年前に再婚した。

まだ子供はいないが、

「5人は作るぞ!」

と張り切る旦那が愛しくて仕方が無い。

そんな幸せ絶頂の中で彼からメールがあった。

「復 縁 し て く れ」

だとよ。

「上司さんの言葉を鵜呑みにして一方的に婚約破棄したくせに何寝ぼけたこと言ってんだ」

と返すと、

「周りがどんどん結婚していく。あの上司もあれだけ結婚反対主義者なのに結婚してしまった。俺も結婚したい。戻ってきてよ」

と頭沸いたメールを返してきたので、

「とっくに再婚したんだけど!せいぜい独身貴族で頑張ってね」

と送って着信拒否した。

あんまり修羅場ではないかな?