雨が降れば思い出す、私が原因の修羅場。

小5の夏休み、プール教室のために学校に向かっていたら雲行きが怪しくなっていった。

そこで目の前の建物から出てきたおじさんが目に入って

「雨降りますかね。雷落ちたらやだな」

って話しかけた。

自分でも未だになんで話しかけたかわからないし、向こうも急に声かけられてちょっとびっくりしてたけど

「あ~これは降っちゃいますよ。雷もゴロゴロ鳴ってるね。」

って答えてくれて、歩きながら話して

「俺は車だから。君も気を付けてね」

といったん別れた。


でも別れてすぐおじさんが走ってきて

「車に積んでた予備だからあげる。降らなきゃ荷物だけど君が帰るときは降ってるだろうから」

と言って傘をくれた。

その日の帰りに本当に降ってきて、濡れずに帰ることができた。

母親にその事を話すと、傘を返してお礼を言おうと言うことになって、翌日おじさんと出会った建物(=おじさんの会社)を訪ねた。

その会社で母親がおじさんを見てから態度を一変させたのが修羅場の始まり。


おじさんがすごく太っていること、独身だということを変態の犯罪者予備軍みたいに言って、

「娘に近づかないでください」

と言っちゃった。

対応してくれたおじさんと社長さんは

「この度はご心配おかけしてすみませんでした」

と頭を下げて、おじさんは私に

「余計なことしてごめんね」

と言ってきた。

私は

「お礼を言うつもりで来たんだよ。お母さんが変だ」

って言ってるのに母親に

「黙りなさい」

と怒られて泣いてた。

最初はにこやかな態度だった社員のお姉さんが私たちを冷たい目で見てたのが怖かった。

その夜母親と父親がこの事で大喧嘩して今度は父親に連れられてお詫びとお礼に行った。

それ以降おじさんを見かけることはあっても、私に謝ってきたときの悲しそうな苦笑いが思い出されて声をかけずに隠れてしまった。

今もあの会社があるかはもうわからないけど、あそこに行く勇気はまだない。