私はお酒が飲めない。

全く飲めない。

日本人でも数パーセントだというアセトアルデヒド非活性型だ。

パッチテストすれば肌が完熟イチゴの赤になる。

飲んだら病院行かないといけない。

致死的に飲めないせいか、飲み物でも漬物でもアイスやチョコなどのお菓子、初めて見る料理でも、見るだけで何となく「酒入ってる」とわかる。

匂いなのかもしれないが、とにかくわかる。

0.03%のアルコール含有のアイスでもわかった。

というわけなのだが、学生時代も社会人になってからでも、酒を飲ませようとする人が現れる。

「乾杯くらい」

とか

「お祝いだから」

とか

「これは悪酔いしないから」

とか色々言われる。

私も自分の健康がかかってるので、

「全く飲めないたちで」

とか

「今日はちょっと薬を飲んでて体調が」

とか穏便に断るけど、最後はもう無視したりする。

新卒で就職した、まあまあ名の知れた建設会社の新歓会でも、「一杯くらい」と上司に散々言われ最終的に強めにお酒を断ったんだけど、トイレから戻ったら、飲んでたジャスミン茶のグラスにウィスキー混ぜられてた。

もうグラス見てわかるし、その上司の気持ち悪い笑顔と周りの人の

「大丈夫かなー」

みたいな顔でもう、バレバレだった。

「あー私なんて、倒れても死んでもどうでもいい新入社員なんだな」

と思ったらもう無力感に襲われて、飲み屋の厨房に

「すいませーん、急性アル中で一人倒れそうなので救急車すぐにお願いしまーす」

って言って、携帯で110番して

「上司に酒を強要されて、死にそうです、助けて下さい、場所は○○駅の○○です」

って言って電話切った。

それからグラス一気飲み。

すぐ顔がカーっとして眩暈と吐き気がして天井を見た後は、記憶が消えた。

目を覚ますと病院で、点滴打って一日入院して帰った。

会社に行ったら、行った途端に人事部の偉い人が来て

「配属変わったよ」

と言われた。

新しい配属先は、新卒では配属されない社長直下の花形部署だったのですごいラッキーだった。

社長も何故か初めは私にビクビクしてる様子だった。

身に余る花形仕事と給与を貰って、数年前円満に退社した。

今はその経験を活かし、独立して仕事してる。