中一の頃に授業中にいきなり背中をコンパスで刺された。

席替えが終わってから、妙に絡まれるようになって徐々に悪質になった。

前から後ろから小突かれたり、紙屑を投げてきたり、椅子を蹴ったりしてきやがったので予兆はあったが、相手すんのもめんどいのでハラワタ煮えくりかえりながらも極力、スルーしていた。

とは言え何も反撃しなかったので、助長させていた面はあったと思う。

正直、そいつが家からメリケンサックやらナイフやら改造済みのガスガンやら持ってきて自慢するような奴で、さらにそいつの兄貴が不良高校すら退学になった筋金入りのDQNということも知れ渡っていたからクラスの誰もがソイツとは関わり合いになりたくないと考えていた。

うちの中学にいた不良連中からもどちらかと言えば付き合いを敬遠されてるような奴だったので刃向かうのは怖かった。

対称的に俺は眼鏡かけてたし休み時間は自分の席で本読んでるような奴だったから大人しそうだと思われたんだろう。

今日も何かされんだろうと憂鬱になってたら、突然背中に激痛を感じて後ろを振り替えるといかにも底意地が悪そうな顔をして

「授業中に後ろ向くなよ、身障が」

と笑いながら言われた、。

いきなり凶器で刺してきた上に何でそんなこと言われるのか分からなかったので元々、そんなに我慢強い方ではない自分は完全にキレて

「それが人ぶっ刺しといて取る態度か」

とわめいたが、相手は

「身障がキレてるwウケるw特殊学級行けよ、つーか死ね」

とヘラヘラしながら挑発してきた。

当然、授業中にそんな騒ぎ起こしてたら先生の目に止まらない筈がなく、何を騒いでいるのか問い質してきたが向こうは

「こいつがいきなりこっち向いてイチャモンつけてきました」

とのたまい俺は

「こいつこそ、さっきコンパスで背中刺してきて、俺の事を身障と言いました!」

と小学生レベルの口喧嘩を繰り広げた。

まだヘラヘラしながら

「お前馬鹿じゃね、やっぱ身障はこのクラスにいらねぇわ、キレるはアホみたいな嘘つくわでゴミだし、死ね」

と嘲笑してきたが、こんな言動の時点で皆がドン引き、それに気付かず臭いし、眼鏡だしと続けてさらに皆が引いてた。

肝心のコンパスで刺した件でも奴は証拠がないとせせら笑っていたが状況証拠はありすぎるぐらいあった。

俺と奴の席は教室の真ん中だから、後ろから背中にコンパスを突き立ててた事を目撃した人が多数。

背中も刺された箇所がはっきり分かるように傷口の血が赤い球になってて、Yシャツに血が染みになっていたので先生は俺の言うことを信用してくれた。

まあ日頃から相手の素行も悪かったし、家庭環境も教師なら把握してただろうから。

その日は学校を早退して親の迎えで病院に行った。

俺よりオカンの方が取り乱していて刺された当人がノホホンとしていたもんだから

「あんたには神経はないの!?」

とよく分からんキレ方をされたが、俺の方は

「こんな精神状態で車運転させて大丈夫かねぇ」

と思ったのをよく覚えている。

取り合えず病院に行っても傷口の消毒して上からガーゼ張って貰い、念のために化膿しない為の抗生物質を何日分かもらった。


次の日から登校したが、向こうは学校に来てなかった、自分が刺された事は既に学校中に広まっていてわざわざ上級生が俺の顔を見に来た、一部の女子からは刺された感想を聞かれたが痛い以外に何があるんだと思った。

後日判明したのは、俺を刺した理由は上記の俺が大人しそうに見える事以外にもあったこと。

まず、そいつは自分の兄貴を慕っていて、度々行動指針にしていたその兄貴が自分が中学校の頃から暴力を振るっている事を豪語していたのに影響を受けて、まず最初は相手の背中に針を差すようなことから始めて最終的には本格的な暴力に目覚めようとしたこと。

席が近く、大人しそうな俺は格好の実験台だったそうだ、ちなみに俺が身障だと思ったのはいかにも根暗そうで休み時間に誰ともふれあわずに本ばっか読んでたから。

それと自分は図書委員だったけど、一度そいつが借りパクした本を返すように催促したのと、同じ図書委員に所属していたある女子が好きだったが、その女子と俺が身障の癖に度々喋っていたからムカついたそうだ。

とは言えその女子にもそいつは嫌がらせしてて全く想いが伝わる所か、完全に恐れられてましたが。

さらにバックからはアイスピックも見つかったので大事になり、慕っていた筈の兄貴からも

「俺はクラスメイトにコンパスの針で刺していいとか一言も言ってない」

と突き放されたそうで信じていた兄貴にも裏切られて、見下していた筈の俺にも完敗しさらに好きだった女子にも本当は卒業間近に告白するつもりだったが予定を繰り上げて告白、当然、玉砕、ただ振られるだけではなく色々つもり積もったであろう罵倒をされて好きな子から嫌われてることが止めになり自信喪失して不登校になったが、誰も奴の家まで行って説得しようとはせずに卒業式にも来なかった。

中学卒業後は定時制の高校に通い始めたらしいが、馴染めずにすぐに中退してしまった。

その後の軌跡は情報が錯綜しててよく分からんが、つい最近、県外でジサツしたと聞いたのでここに書き込んだ。