就職してから最初の夏頃、人生で初めて腰痛になった。

小売業で力仕事も結構させられてたので特に気にせず「いやー腰痛とか俺ももう歳かなーw」なんて思ってたが、そのうち立っているだけでも痛くなってきたので、とりあえず近所の診療所で見てもらうことにした。

おじいちゃん先生が一人でやっている診療所で、レントゲン撮ってヘルニアだと言われた。

痛み止めを飲んで症状が良くなるのを待つのが良いというので、その通りにして変わらず仕事をしてた。

ところが何時まで経っても痛みは引かず、むしろ酷くなっていった。

痛み止めも効かず、何をしていても痛い。常に腰は曲げっぱなし状態。

新入社員が休む訳にはいかないので、おじいちゃん先生と相談して胃腸に負担が掛かりやすいが、今までのより効き目の強い薬に変えてもらった。

が、それでも一向に良くなる気配はない。

そのうち薬の副作用か、胃が痛くなり、常時吐き気がするようになる。

食欲もなくほとんど何も食べられなかったので、かなりやつれていたと思う。

自分は必死だったので当時は気付かなかったが、やせ細って腰を曲げながら売り場を歩く様はかなり奇妙だっただろう。

その後とりあえず胃痛だけでも治そうと別の診療所に行くと、やはり痛み止めの副作用だろうということで胃薬を処方された(問診と触診のみ)

痛み止めを減らし胃薬を飲み始めるも、腰も胃痛も吐き気も酷くなるばかり。

腰痛で夜は全く寝れず、胃痛と吐き気で一日にス-プ春雨一杯くらいしか食べられない。


そんなこんなで12月。

この頃には謎の息苦しさもプラスされ、こんな状態で年末の繁忙期なんて無理!と心が折れた。

つら過ぎて思考が停止していたのか、この期に及んでまだヘルニアだと思っていた俺は、ヘルニアにも入院治療があるということを調べると「大きな病院で診てもらい、頼み込んで入院させてもらおう」と考えた。

少し遠くの大学病院で、胸から腰に掛けてのレントゲンと胃カメラを撮ってもらった。

すると、おかしなことに背骨には全く異常はないという。

胃腸も全く傷ついておらず、綺麗だそうな。

こんなに体中ボロボロなのに?と唖然としていると、胸部のレントゲン写真を見せられた。

素人の俺でも異常だと判るほど肺だけが真っ白になっていた(この辺でやっと「まさか」と思い始めた)

次にに腰のレントゲンを見せられ、臓器ではない大きな塊が神経を圧迫していると言われた。

早い話が腰に腫瘍が出来て、それが肺に転移したということらしかった(悪性腫瘍だが癌とも違うらしい)

当然即日入院して検査&治療となったわけだが、この時はショックより休める口実が出来た喜びのほうが大きかったのをよく覚えている。

上司に電話で説明すると当然戸惑っていたが(それまでずっとヘルニアだと言っていた)あっさりと入院を許可してもらい、年末の一番忙しい時を見事にサボった。

後で両親が呼ばれこっそり病状を聞いたそうだが、かなり進行していたらしく「もしものことも覚悟してください」と言われたらしい。実際見た目も相当ヤバかったらしい。


その後半年くらい抗がん剤治療をして無事完治したが、5年経っても毛髪が復活していないのが現在進行形の修羅場。

みなさんも体調がおかしいときは無理をせず、早めにちゃんとした検査をしてくれる病院で診てもらってください