24歳で結婚。

嫁はメシマズ以前に「料理が出来ない」「偏食(魚、野菜一切ダメ)」。

結婚するまで米を研いだことなし、味噌汁もつくったことなし。(俺が教えた)

結婚して覚えた料理は、ハムエッグ、ベチャベチャ野菜いため、もちもち炒飯のみ。(ちゃんと教えても、なにかを間違えて失敗する)

1年のうち、300日の夕食を俺がつくることに疲れ、そのくせ好き嫌いが多い。

貯金が好きだったから、俺にもっと稼いで来いというが、サラリーマンが残業以外にどう稼ぐ?

そのくせ、残業で帰宅が21時過ぎになると怒る。

「夕食は21時前に食べないと太るのに」と。

このまま結婚生活を続けても、自分にメリットは一切ないと判断し、俺が28歳の時に離婚。

揉めるかと思ったが、貯金の全てを渡すと言ったら、喜んで離婚届に判を捺してくれた。

(ローンの済んでないクルマまで持っていき、ローンだけ俺に残した。完済したよ)

以来、38歳まで優雅に一人暮らし。

週に2-3回外食をし、あとは自炊してビールを飲みながら映画鑑賞という日々。

休みの日は2シーターの愛車かバイクで、食べ歩きという日々。


そんな中、俺の下に新卒2人が配属される。

その1人が遠藤久美子似の遠藤嬢(仮名)。

会社帰りのラーメン屋巡りに遠藤嬢に3回遭遇。聞けば彼女も俺と同じ「あっさりラーメン派」。

じゃあってんで、週に一度、遠藤嬢とあっさりラーメンめぐり、月に一度、ドライブして蕎麦めぐり。

すると、遠藤嬢狙いの男性社員が「俺も混ぜてよ」と、いつの間にか「ラーメン愛好会」発足w

遠藤嬢狙いの男どもは未婚だから、それを狙って20代女性社員も続々参加w

15人を超えて、いつのまにか、会社公認の「ラーメン蕎麦クラブ」になった。

そしたら、遠藤嬢が「ちょっと相談があるんですけど」と、自宅にまでやってきた。

内容は「全然その気がないのに、△さんや×さんに告白されて困ってるんです」。

そりゃあ大変だなあ、と、手料理をふるまって…が回を重ねて、ほぼ毎週遊びに来る遠藤嬢。

そのうち、俺と遠藤嬢の仲が社内で噂になり、人事部の同期が忠告してきた。

「独身同士だから処罰はないが、直属の部下と変な関係になるのは困るぞ」と。

で、この時点で、俺は遠藤嬢に一切手を出していない。マジで本当に。

以前に部長と女性事務員の不倫で、部長夫人が刃傷沙汰を起こしたので不倫には厳しい。

独身同士でも、上司と部下だと「パワハラの疑義あり」とされ、どちらかが異動される。

とりあえず、周囲の誤解を解くためにも話し合いをと、終業後に喫茶店へ遠藤嬢を呼び出す。

「誤解されないように、俺の自宅に遊びに来るのは控えよう。君のためだよ」と。

そしたら、泣かれた。俺、おろおろ。

「私、今まで下心のある男性ばかり寄ってきて、下心なしで大切にされたことないんです」

「課長もそのうち、私のこと好きになったとか言い出すんだろうなと思ってたけど、全然そういうことなくて、いつまでも下心なしに親切にしてくれる男性もいるんだなって」

「そしたら、課長のことが気になってきて、なのにラーメン屋巡りは人が増えちゃうし、休みの日の蕎麦めぐりも、クラブ活動になると1か月に一度になっちゃうし」

「課長の家に行っても、紳士的だし、お料理上手だし、本当に好きなんだってわかったんです」

「私みたいな子供はダメですか?付き合っていれば、私も大人になっていきます」

いやいやいや、君は15歳下だよ?当たり前だけど俺は15歳上だよ?

俺はバツイチだよ?君はまだこの先、もっといい男と巡り合えるチャンスあるよ?

親御さんだって15歳も年上のバツイチオッサンなんか嫌がるよ?祝福されないよ?

うちはハゲの家系だよ?あとデブの家系だよ?俺そろそろ危ないよ?

まあ、こんな感じのことを必死で言ったのだが、シクシクシク…と静かに泣くばかり。

最終的には、俺が折れた。ってか、健気さに打たれた。

その後は急転直下。

まずは遠藤嬢の実家へ挨拶。

義父さんが渋ったが、義母さんが「うちだってあんたが14歳年上じゃないの」と撃破。

(後で聞くと、遠藤嬢は先に義母さんに相談していたらしい)

で、その日は遠藤嬢の手料理。

これが美味い!関西出身の義母さんから教わった煮物(炊いたん)が絶品。

そして、鯛のあんかけで、完全に俺の胃袋は掴まれた。

うちの実家へ連れて行くと、俺の再婚は諦めていた両親は若い嫁に唖然。そして、狂喜乱舞。

2週間でお互いの両親顔合わせ。結納っぽい感じに。

次の春には結婚。

その冬には長女誕生。

次の年には長男誕生。

出逢いからたった2年で、俺の人生が急転直下ならぬ急転上昇。


ちなみに、ラーメン蕎麦クラブは、独身限定の会となって、今も存続していますw

(二次会で遠藤嬢狙いの後輩たちから男声合唱によるヤケクソの「ウェディングベル」がw)