私が幼稚園児のときのことだから30年以上前の話。

うちは田舎でスーパーをやってる。

店と駐車場が横並びで、比較的大きめの道路に面して立地。

道路の反対側は民家で、その境界線としてうちが店と駐車場をぐるっと囲んだ1.3mくらいの塀を建ててた。

地図上では民家とうちの距離は数m。

でも、お互いが背中合わせみたいな感じで、店の入口と民家の玄関は真逆なため、実際にはその民家から店の距離は道路をちゃんと歩くと200mくらいになる。

遠くなるって言っても200mだけど、目の前にある店に行くのにそんなに歩くのは嫌だった駐車場の裏の民家のおばさんは、うちの駐車場内にブロックを積んで足場を作り、自分の家の裏口から塀を越えてこれるようにしてた。

しかもそのブロックもうちのもの。

ダンボールが飛ばないようにするためにストックしてるのを勝手に拝借してた。

幼稚園児の私がおばさんの仕業って言うのは知らず、端っことはいえ駐車場にブロックが重ねて置いてあることに気づいて

「駐車場にブロックが!車が踏んだら危ない」っていう正義感で足場を解体してブロックを撤去。

解体してもしばらくするとまた足場ができてるので撤去。

それを繰り返すこと数回。


ある日、撤去作業中にそのおばさんに見つかった。

「あんただったのね!勝手にブロックどかして危ないでしょ!おばちゃん怪我するところだったのよ!」とキレられた。

今だったら「勝手に人の敷地内に足場を組むな!」って言えるけど、幼稚園児だったのでそんだけ怒鳴られるってことは自分が悪いことをしたんだと思い

「ごめんなさい」と謝って逃げ、その後その足場の撤去作業は怖くてできなくなった。

おばさんがあまりにも怖くて親にも言えなかった。


今考えると、人んちの資材で人の敷地内に勝手に自分の便利なように改造加えるおばさんの神経がわからん。

その後、何度かおばさんが買い物持って塀を超えるところを目撃したけど、遠回りでも歩いた方が楽じゃ?っていうくらい手こずってた。

もともとその周辺の民家はそれぞれちょっと低めだけど塀を建ててたから、買い物に来るためだけのただの近道だと思うんだ。

当時で50近いオバサンが、ひざ下のスカートの膝部分が突っ張るまで足広げて塀をよじ登る姿は怖かったよ。

オバサンがそこを登ってるのを知ってから、よく卵が割れた跡があるのに納得したよ。

やっぱりそこまでして近道したいって神経がわからん。