オタク話もあるので苦手な方は注意してください。

妹は男の子と恋愛するゲームが大好きで、とあるキャラの影響でフルートを始めた。

オタクの熱意故か、元から才能があったのか妹のフルートの腕はめきめき上達し、「フルートの上手なお嬢さん」として近所で評判だった。


ある日悪ガキもビックリな連続ピンポンが家にあって、モニターを見れば最近越してきたばかりのAさんがいた。

連続ピンポンが引っかかったけど遅めの引っ越しの挨拶か、と思い特に気にせずドアを開けた途端、Aさんは私の爪先から頭のてっぺんまで値踏みするみたくジロジロ見た後、

「フルート吹いてるのあなたじゃないでしょうねえ?」と私を責めるような口調。

音がうるさかったのか?と思いつつ、妹がやってます、と言いかけると、Aさんは妹の部屋がある二階へダッシュで駆け込んでいった。

あまりの行動にポカーンとなったけど慌ててAさんを追いかけ、二階のドアというドアを開けまくるAさんを止めようとするがどこ吹く風。

制止も無視し妹の部屋のドアを乱暴に開けた後、Aさんはかなり狼狽えていた。

妹の部屋は本棚一杯の漫画、妹がフルートをする切っ掛けになったキャラの無数の引き延ばしポスターetc...

妹は頑なに誰も部屋に入れようとしなかったので初めて見たけど、妹の趣味が思ったよりやばかったとかAさんの目が血走ってて怖いとか心中グチャグチャに。

Aさんは「息子のお嫁さんにしてあげようと思ったのに!」と金切り声で喚いて、一番近いところにあった妹の手作りカレンダー(もちろんそのキャラ仕様)を破ると、「○○様!」と叫びAさんに掴みかかろうとした妹に驚いて逃げ出した。


このことは親に勿論報告して○○様を破られた妹は訴える!と意気込んでいたけど、Aさん家の子が私と同じ学校だと判明し逆恨みされるかも…と泣き寝入り。

フルートを吹く=美人の金持ち、というような口振りで話していたと近所の人に聞いたが、妹は私に似て結構なブスだしフルートだって5万もしないやつだし、家だって小さいのに何でそんなことを思ったのかが不明。

数年してAさん一家は引っ越していったが、Aさん家には娘さんしか居なかった。