旦那の転勤について行った田舎町に、シングルマザーのAさんがいる。

老人ホームの管理栄養士で、月1回、自宅で会費制の料理教室兼ホームパーティを開くほどの料理上手。

しかも、30代半ばとは思えないスタイル抜群の美人。

こんな人が何故×1?と思ったら、彼女の離婚の顛末は、地元では知らない人はいない話だった。

Aさんの元旦那Bは、同僚や部下を招いて、Aさんの料理をつまみに、しばしば宅飲みをしていた。

Aさんが体調不良を理由に断っても、Bは同僚や部下を連れてきて、Aさんにつまみを作らせた。

宅飲みはAさんが妊娠した後も続いた。

その中でも、Bの部下Cという男は、宅飲みに来ては、Aさんを不快にさせていたという。

「貞淑そうに見えても女の本質はふしだら」「托卵ということもあるから親子鑑定をした方がいい」などとBにたきつけ、

C以外の飲み仲間も同調するので、そのうちBも「お腹の子は俺の子か?」と言い始めた。

臨月に差し掛かったある晩、いつものようにCが不愉快なことを言い出して、Aさんと口論になった。

「お腹の子がBの子どもではないから怒るのだろう」「とんだあばずれ、不倫相手はどんな奴だ」とAさんを罵り、

Bも「お腹の子は俺の子ではない。もう離婚だ」と発言。

その場にいた同僚、部下は誰もB,Cを止めなかった。

離婚を考え始めていたAさんは、それらをこっそり録音しており、Bの同僚、部下がが酔いつぶれた後、家出。

一晩をホテルで過ごし、翌朝、新幹線で実家に戻った。


B,CらがAさんの家出に気づいたのは、翌日の夕方だったらしい。

Aさんの携帯、実家にBから電話がじゃんじゃんかかってきたが、その頃には、Aさんは両親の手配で近くの産院に避難済み。

さらにその翌日、BがAさん実家にやってきたが、Aさんは戻っていないと近所とも口裏を合わせた。

AさんがBと対面したのは、無事に男の子と女の子の双子を出産してから。

離婚を申し出たAさんに「やっぱり俺の子でなかったんだろう」とB、B両親が激怒したので、親子鑑定。

双子はどちらもBの子で間違いないという鑑定結果が出た途端、Bは「離婚したくない」とごね始めた。

Bは「酔っぱらっての戯言」「本気でなかった」などと言い訳したらしいが、Bが相応の慰謝料、養育費を払うことで離婚成立。

侮辱罪で告訴されたCは、「一般的な話をしただけ」と言い訳したが、告訴を取り下げてもらうかわりに、慰謝料を支払うことになった。


子どもとの面会を口実にやってきては、「Aの手料理が食べたい」「親子でやり直そう」と、Bは今でもAさんに復縁を迫り、B両親は「初孫を寄越せ」と保育園で誘拐未遂を犯して、警察の御用になった。

そして、Cは退職し、分割の慰謝料を数回払ったきりで、連絡が途絶えたという。

自分の旦那がそのCだと分かったのが、修羅場。