端的に言うと、十年来の幼馴染が文字通りクソのようなホモだった。

俺には実家が今の住所に引っ越してから、小中高とずっと一緒だった一つ年下の幼馴染がいた。Hとしよう。

俺が大学に行くことでそれは一時的に途切れたんだが(そもそも俺が理系で奴は文系だった)、何を思ったのかHは一年浪人して俺の大学へ入学してきた。

かわいい後輩であり気の置けない幼馴染でもあったから、ごく自然に彼女(A子としよう)を紹介もしたし、土地勘がアレな入学したての頃は原付のケツに乗っけて色々連れてったりもした。

A子とHもぱっと見は仲よさそうに見えたし、何やかんやで充実した一年になるだろうと当初は思っていた。

まあこんな前置きしてる以上、そんな事はまったくなかったわけだけどな。


事態が動いたのは、去年の前期末試験が終わった頃だったというように覚えている。

試験で午前様、しかもバイトもないしA子と半日いちゃつくかな~、みたいなノリで部屋の鍵を突っ込むと、閉まった。

何ぞやと思って開け直して入ったら、部屋でA子が泣いとったわけだ。合鍵渡してたんだよね。

わけを聞くと、どうもHに俺に近づくな、と脅迫めいた勢いでまくし立てられたと言う。

それが数日続いてると。

はっきり言って、最初は信じられなかった。

Hはずっと一緒に育ってきた、なかば兄弟のようなもんだったからな。

でも、俺の目の前で彼女がそいつに脅されたと言って恐怖で震えてる。

俺は3日ほど悩み、悩みに悩んだ結果、とりあえず直談判することにした。

後から思えば最悪手だった。


奴と俺とA子は同じサークルに属していたから、ふたりだけになるのは存外簡単だった。

ふたりだけというシチュに奴が興奮してるように見えて軽く鬱りかけたが、とにかくこれこれこういう事があったと聞いた、お前は本当にそういう事を言ったのか、どういう目的かと聞いてみた。

答えは最悪オブ最悪だった。

奴め、自分がゲイだと告白し、健常な青少年がオナる頃には俺のケツの妄想でヌイていたとのたまいやがった。

それは別にいい。自分が野郎のオナペットにされるのは非常に不愉快だが、言ってどうにかなる問題でもないし。

あと、俺は別にホモセクシャルそのものに対して隔意はない。個人に対しては別だがな。

俺にコクりたいから仲介してほしいと頼まれた時には、有形無形の嫌がらせで断念させていたらしい。

これもまあ、別に俺に実害は……あったかもしれんが過ぎた事だし言ってもしょうがない。

脅迫したのは事実だ。

これだけ自分が先輩を思っているのだから、俺先輩がそれに応えるのは当たり前。

はいアウト。論外。ふざけるな。俺はノーマルだ。ついでに言うと掘るのも掘られるのも大嫌いだ。

彼女以外の女と致すって考えるだけで嫌悪感がヤバいのに、野郎の穴を掘ったり掘られたりなんて考えられるか。

もっと言うと掘られるのは最悪に論外だ。そして奴は掘り専(というのか?)だった。

俺は自分の処女の危機を悟った。

とにかく彼女に近づくな手を出すな、ついでに言うと俺はノーマルだからお前と突き合うつもりは毛頭ない、お前との仲もこれまで通りというわけにいかん、しばらく距離を置かせてもらう。

そう強く言い捨てて、その場を立ち去ったわけだが、奴は身も蓋もなく色々かなぐり捨てて行動しやがった。

それから数日、俺はいつも以上にA子のそばを離れず、ぴったりガードするように過ごしていた。

それもそろそろ大丈夫かなと、彼女と講義がかぶらない時間帯に食堂で友人Bと遊戯王やって暇を潰していたら、俺がとある理由で一方的に避けているC美(Bの彼女)とD絵を引き連れてH襲来。

俺のデッキを払って再考してほしいとアツく訴える。

そんな事はどうでもいいから俺のデッキを直せ。デュエルの最中、まさに佳境ってところだったんだぞクソが。

C美とD絵がかわるがわる「ゲイだからって一方的に避けるのは良くないわ、差別はダメよ!」とアツく語るのを、どうあがいても被害者なので冷たい目で見る俺と「こいつら何をそんなにヒートアップしてんだ」と困惑気味のB。

そのうち「性別差を超えた愛なんてロマンティックじゃない!」と本音がダダ漏れたところで俺、カウンター発射。

「そうだよな、自分の彼氏とそのダチ(Not俺)でホモ漫画書いて売ってるお前らからしたら、Hと俺がホモカップルになると題材が増えるし妄想がはかどって二度ウマいもんな。しかもいい人気取りで優越感に浸れて三度ウマいってか?お前らが書いてるホモ漫画のためだけに俺に痔になれって、きめぇんだよ変態シスターズ」

B愕然、C美とD絵バラされてパニック。

何で俺が知ってるかって、そりゃ食堂で描いてるのを見ちまったからなんだが。

しかもふたり揃って俺に3食ほど奢って口止めしたのに、マルっと忘れてやがった。アホだ。

ついでにその机はそれ以降絶対に使う気はない。

ホモ漫画の作画に使われた机で飯とか勘弁してくれ。

「何でバラすのよォォォォォ!」な変態シスターズと「そんな事より俺の(ピー)を受け入れてください先輩!」なHで周囲はパニック、はっとする変態3人。

そりゃそうだ、時刻はまだ13時ちょい過ぎ、昼飯食ってる奴らもチラホラいたわけで。

ついでにその中にHに絶賛片思いの子やCDと仲のいい子も結構いたわけで。

デデーン、変態、アウトー。


こうして悪の変態どもは自滅したんだが、CDは開き直って俺とBに「慰謝料として掘り合い見せろ!あと噂を訂正しろ!」とほざきやがったので、

丹念に「CDコンビはホモセックスを見るのとコミカライズするのとそれでオナるのが大好きな真性のド変態です」と事実に訂正してやった。

鳴いて喜ばれたのでちょっと鼻が高かったな。当然掘り合いはノーサンキュー。

Hは自分の親に「先輩が俺の(ピー)を受け入れてくれなかったウエーン」と泣きつき、すっ飛んできたご両親に回収されて頭の病院に押し込められた。

土下座レベルで謝られたが、俺肝心のHに謝られてないんだよね。

謝らんでいい人が謝ってくるのを見るのってすごい苦痛なのな。それまで知らなかった。


ちなみにA子とは今年に入って、つまり4年次になって別れた。

ホモの親友がいるなんて知らなかった、もう一緒にはいられない(涙)とか言ってたが、俺がHからお前を遠ざけようと奔走してる影で浮気してたのは冬の時点で知ってたし、相手とは既に話がついてんだよファック!

ということで、「A子は彼氏がトラブルに巻き込まれてるのをいい事にゴムなし浮気でアヘるクソビッチです」とキッチリ根回ししてから別れた。

こっちも鳴いて喜んでくれて俺嬉しい。

こうして俺は親友と彼女を失った、というのが最終的な修羅場の顛末。

笑っていいよ?