祖父が再婚しようとした時(祖母は鬼籍)、後妻さんに向かって「財産狙い保険金狙い、家を乗っ取る気か、祖父の金を使い込むんだろう」と口汚く罵り「悪口は自己紹介」を地で行った、叔父一家

後妻さんはそれを見越して、(後妻と書くけど)祖父とは内縁関係、事実婚で通した

祖父が他界すると、四十九日も終わらぬうちに叔父一家は後妻さんに「この家から早く出て行け、おまえのものは何もない、家から何も持ち出すな」とギャンギャン

後妻さんははいはいと身一つで出て行った

うち(両親、兄、私)は後妻さんが好きだったし祖父を最期まで見てくれて感謝していたので「あいた部屋があるから(兄が結婚して独立したので)うちで暮らしませんか」と誘ったら

「いえ、お父さま(祖父)がお元気なうちから身の振り方は話し合って決めてました。遊びに来てくださいね」と言ってくれたので、遊びに行った

………高齢者用高級マンションだった

豪華で広い居室、花いっぱいの庭、レストランにティーラウンジに、大浴場に娯楽室に図書室と、そこらの高級ホテルよりはるかにステキ(いや高級ホテルもよく知らないけど)

健康面も、病院と提携して健康診断や、病気やけがをした時のケアもばっちり

介護士も看護師も常駐、最期の時まで心配なし!

いいいいいいったいいくらかかるんだ、祖父の財産じゃ無理無理無理

というか後妻さんは祖父のお金には一銭も手を付けてない


後妻さん、超資産家の一族の、最後の1人だった

一族の金がらみのゴタゴタに嫌気がさして、高校を卒業してから家出同然に遠くの町で就職

ずっと独身で働いてきたが、仕事で知り合った祖父のお人好しさに惚れて「一緒にいてください、介護もお任せください」(結局、介護は必要にならなかったが)と押しかけ女房

そんなことをしているうちに、資産家の一族は次々に他界、はたと気づけば財産総取り

もうおわかりですね

後妻さんが内縁のままだったのは「祖父の財産を狙っていると思われるのが嫌だった」のではなく「祖父の血縁が、自分の財産を狙ってくるのが嫌だった」からだったんですね

そりゃ、あの叔父一家を見てればそう思うだろう

うっかり祖父と籍を入れて金持ちだってことがばれたら、マジで叔父にコロされてたかもしれないし

叔父一家は一文無しのババア(と思っている)と関わる気はないので、後妻さんが今どこでどうしているかを全く知らないことが幸いだ

ま、どっちにしろ赤の他人だから関係ないしね