伯父(父の兄)は今で言うニート。一回も働いたことがないらしい。

ニートという言葉はなかったから皆「ぶらぶら病」とか「何にもせんにん(仙人)」とか呼ばれていた。

ずっと祖母と二人暮らしで、祖母の年金と、祖父の軍人恩給?で食べていた。

伯父の祖母に対する態度はひどくて、怒鳴ったり小突いたり、平手で叩くこともあった。

父や叔父が何度か祖母と伯父を引き離したんだけど、伯父は一人で生きていけないし、家が臭くなって近所から苦情が来たりで仕方なく祖母がそのたび帰っていた。

「自分が帰った方が、周りに迷惑かけないで済むから」と。

祖母が八十歳越えても伯父の態度は改まらず、殴ったり蹴ったり、お金を取ったりしていた。


しかし祖母が去年他界。

伯父は一人になった。

なぜか父か叔父が自分を引き取ると思い込んでいたけど、当然どちらも拒否。

祖母の年金も軍人恩給もなくなり、伯父は今祖母が遺したお金で細々と食べている。

父と叔父は相続放棄したから、一応住む家もある。

日曜日、伯父の家に用事があって母を車で送っていった。

滞在時間は10分くらいだったんだけど、こっちが用事を済ませ、お仏壇に線香あげてる間も伯父はずーっと祖母の思い出話をしていた。

それが全部嘘だったのが衝撃というか…

祖母の着物を仕立直す手配をしたのはうちの父で、家のリフォーム代金を出したのは父と叔父、晩年、祖母のお風呂の介助をしてたのは叔父の奥さん。

それが全部、伯父の脳内では伯父がやったことになっていた。

伯父は祖母に手も上げたことがない聖人君子の孝行息子になってた。

気持ち悪くなってすぐ帰ったけど、あの人これからどうするんだろう。

祖母が遺したお金なんて二、三年でなくなると思う。

六十代だからまだ働ける年齢だけど無理だろうな…