子供の頃うちの家では「卒業」という儀式があった。

内容はその年齢に相応しくない物を親父の見ている前で自分で壊す、というもの。

戦隊物の玩具や漫画、ファミコンなど

壊さないでいると親父に本気で殴られるので、最終的には泣きながら自分で壊した。

それが済むと親父に「これで少し大人になったお祝い」としてステーキ屋に行ってメシを食べるのが習慣となった

この儀式は俺も兄貴も大学生になって家から出て行くまで続いた。


そして兄貴は大学を卒業後付き合っていた彼女の家に入り両親を捨てた

今までのクソみたいな人生から卒業するからと言って

両親は自分達が正しい教育をしていたと自負していたので、兄貴の行動には激しくショックを受けたようだった

俺も兄貴にならって両親を捨てた。

両親は兄貴の時と同じように狼狽したが「子供を持った時、自分達の教育が間違っていないのが分かる」と言われた。

兄貴に散々否定されたにもかかわらず全く変化のない両親の神経が分からなかった。

そのうえ、自分としてはこの言葉が呪いにしか聞こえなかった。

事実兄貴は子供を作ったが子供のちょっとしたしぐさで昔のトラウマを思い出すようになり、カウンセリングを受けるようになったそうだ。

まだ20代だけど先の人生が暗い物にしかみえない。