家族が悪徳商法に引っかかった時、短気な私がバカな対応をしてしまった話。

国民生活センターの用語を使うと、「悪質商法」のうちの「次々販売」にあたり、1つ1つは高価でなくても、次々に買わされて結果として巨額の支払いになるというもの。

1つ1つの品物に問題はないが、ぼったくり値段がついている。

例えて言うなら、普通に作ったおにぎりを1個千円で買わされるようなもの。

1度買うと、次は鮭のおにぎりはどうですか、次はおかかで、その次は梅干しで、と果てしなく売りつけられる。

なんかこのごろ、やたらおにぎりが家にいっぱいあるなーと思い、家族に聞いてみたら、上記のことが分かった。

なんで買わされた品物をリアルに書かないかというと、私はその悪徳商法で扱っている品物の業界に勤めているから。

もちろん、勤め先ではまともな商売をしている。

しかし悪徳商法で扱われては、業界の信頼だって落ちるし、まともな商売をしている勤め先と、同業者たちのためにものすごく腹が立った。

まずこれ以上の契約は断らねばと思ったが、電話では言いくるめられてしまうだろうし、言い間違えもあるかもしれないと、契約書にあったアドレスに「今後はそちらとは契約しません。現在契約しているまだ納品されてない分は、キャンセルします」というメールを送った。

向こうからの返信は「現在の契約分はキャンセルできません。弊社の規則でそうなっています」という強気なものだった。

私はかっとして、業界の人間が言われたくないだろうことを羅列したメールを送った。

先のおにぎりの例えを続ければ、「あんたとこのおにぎりはどうせまずくて買い手もいないんだろう。調理が下手だもんね。だから、味のわからなくなった年寄りに売りつけてるんだね。そのうち食中毒でも出して、集団訴訟を起こされて賠償金取られるよ」的な。

根拠は何もない。ただ嫌なことを言いたかっただけ。

向こうから帰ってきたメールは「弊社は非難されるような商売はしていない」だった。

ここらへんで頭が冷えてきたので、市の消費者センターに出向いた。

初めからそうしろよというツッコミは重々承知だけど、頭に血が上ると思いつかないものなのだ。

消費者センターの人にも「メールで喧嘩する前に来てくださいよ」と叱られた。

ごもっともです。すみません。

消費者センターが対応してくれた結果、納品されてない分の契約はキャンセル、

先払いしたお金も戻ってくることになった。

しかしそれには条件があるという。

私からの嫌味メールを受け取った向こうの担当者が深く傷ついたので、文書で謝罪してほしいんですと。

悪徳商法やってるくせに、嫌味言われたくらいで傷つくなよ。

消費者センターは「あなた(=私と家族)が被害者なのに、謝罪って……書けますか?」と心配してくれたが、

「頭なんかいくら下げたって減りゃしませんから」と大見得を切り、ネットで「謝罪文の書き方」を検索して、そのまま書き写して送った。


この件に関してはこれで解決したが、悪徳商法業界では共通の「カモ名簿」があり、カモと認定されると別口から何件も引っかけてこようとする。

うちも半年に一度くらい、同じような勧誘がまだある。

もう引っかからないよういろいろ手を打ったが、ネット上でも、よく「ちょっと考えれば引っかからないだろうに、引っかかる方にも問題があるんじゃないの」というコメントを見かける。

しかし「ちょっと考える」ことをさせないプロなんですよ、あいつらは。

真面目な話、あなたも私も、誰でも引っかかる可能性はある。

消費者センターには感謝感謝。