20代半ばの頃、のっぴきならない理由で避けられないお見合いをすることになった。

相手は絵に描いたような30代オタク。

写真の時点でウヘァとなり、その時点からどうやって断ってやろうかしらとしか考えてなかった。

幸いにも会ってみて断るのは自由と言われていたし。

いざ当日。実物は写真よりもアクが強く、よりウヘァ。

挨拶もそこそこに「あとは若い者同士で…」と引っ込んでいく大人たち。

身の危険を感じながらも何か話題でも作って断る理由を探そうかと思案していると、相手の口が先に開いた。

「まずはこの度の話、迷惑をかけて申し訳ない。

分不相応としてここに至るまでにお断りをするべきかと思ったが、それはそれで失礼にあたると思い、ノコノコとここまで来てしまった。

いかなる理由で断って頂いても結構だが、もしそちらが悪者になるのが嫌なら、僕のほうから断る流れにもって行くので、お互いが嫌な思いをしないよう、一緒に理由を考えませんか。」

と、このようなことを一気に言われた。

断ることを前提にここにいるのは相手も同じだった。

ただその方向性の違いに自分が恥ずかしくなってしまった。

その後、なぜそんなことを言うのかと尋ねてみたら、

「これまで誰とも交際などしたことないが、自分が交際や結婚に向いてないのは自分が一番よくわかっている。」と言うようなことを言われた。

ここで私は相手のこの言葉を否定してみたくなった。

この理由を問われると未だにうまく答えることはできないが、とにかく、「付き合ってみたこともないのに向いてないとか、相手を不幸にするなんて何でわかるんだ」と言うようなことを思って、しばらくこの人のことを見てみたいと、後日そう返事をしてもらうことにした。

自信がないあまり自分を卑下する面倒くさい性格なのかなと思ったけど、その実、この人はただ誠実なだけだった。

他人に対して常に丁寧で、正しくあろうとする。そんな印象。

知らないことを知りたがる知的好奇心が旺盛で、こっちの話はほとんどを興味深く聞いてくれる。

聞き上手。話すことが楽しい。頭のいい人だった。

この人のことをコミュ障だなんていったい誰が言ったんだ。

そんなこんなでいつの間にか2年を経て私達は結婚した。


前置きが長くなったが、神経わからん話はここから。

この結婚に最後まで反対してた人物がいる。

学生時代の友人と、その仲間の一部だった。

彼女らは彼の容姿や趣味を知るや、「ヤメトキナッテ!」「アンタダマサレテルヨ!」

一度だけ彼と一緒にいる時に出くわし、彼に詰め寄られたことがある。

その様には悪意を感じられなかった。ただ純粋に私を守ろうとしていると感じた。

だから、それだけに余計にムカついた。

こいつは彼のことを知らない。なのに容姿やそこらだけで「この男は私を不幸にするためにやってきた」と断じられて、心底腹立ったし悲しかった。

感情のままに怒鳴って友人らを追い払った。

でも、あの日写真だけを見てウヘァとなった自分と、友人達の姿が重なりしばらくの間悩んだ。

それを彼にぶちまけたとき、「なんだそんなこと、それは俺の容姿を見れば当たり前のことだよ」と言われ、少し喧嘩になった。

でも喧嘩の最後に「異性と喧嘩をしたのは初めて。喧嘩するほど仲良くなれて嬉しい」と言われたのが悶えるほど嬉しかった。


以上、なんだか他の部分が多くなってしまったけど、あれ以降も懲りずにちょいちょい仕掛けてきたけど今は完全に縁を切った友人の神経わからん話でした。