ある会社の縫製部門で働いている。

縫製の99%は女性社員で、企画と仕様部門は男女半々くらい。

うちはちょっと特殊なミシン技術を要するので、熟練の職人さんは喉から手が出るほど欲しい。

その縫製部門へ、Aさんという40代女性がパートで入った。

Aさんはまさに即戦力だった。覚えが早くて、技術も高かった。

なんでこんな人がパート?と皆思った。

でも理由はわりとすぐにわかった。

Aさんは男性恐怖症で女性の企画や仕様の社員としか話せなかった。

男性が仕様担当の見本を縫う場合は、間に人を介した。

それが条件で雇われていて、条件があってさえ会社では雇いたい人材だった。

もちろん九割の社員はAさんに事情を聞いたりしなかった。

その年齢で男性恐怖症って、過去に何かいやなことがあったに決まってる。

でも縫製の誰かが仕様の誰かに話してしまったみたいで、いつの間にか企画部門にまで知れ渡っていた。

そして企画には、空気読めないので有名な男性社員がいた。

この男性社員Bはバツ2の40代。

Aさんに「俺Aさん全然ストライクゾーン!」と言って構いはじめ、いわゆる「いじり」の対象にし始めた。

いじりのネタは容姿、年齢、服のセンス、ちょっとした癖など。

Aさんが無反応でいると「ノリが悪い」と頭を叩いたりした。

一ヶ月くらいでAさんの顔にチックが出始めて、Bさんはそのチックのこともいじった。

上司には再三苦情が行っていて、何度もBさんに注意してもらったのに直らなかった。

上司(その支社で一番偉い人)が企画部署びいきだったのも関係あるかも。

結局Aさんは辞めてしまった。

Aさんは事情あって本社から送られてきた人だったのでさすがに問題になって、Bは本社呼び出しで訓告処分になった。

でも彼女の穴は埋まらず、半年経った今でも縫製部門はガタガタしてる。

会社に明らかな損害を与えてるのに、「Aのせいで怒られた」「いじってあげたのに」と未だ文句を言っているBの神経がわからん。